美容師と理容師はどちらも”髪を切る”という点では同じような仕事内容で、どちらも国家試験があり免許を取得しなければお客様の髪を切ることができません。
仕事内容の大きな違いですが、髪型をつくるのが美容師、髪型を整えるのが理容師となり、髪型に対する考え方が異なります。
それでは美容師・理容師の仕事内容や毎年どれくらいの人が国家試験を受けているのかなどを紹介していきたいと思います。
もくじ
美容師の仕事について
お客様の希望に応じて自然に美しく、流行に合った髪型を作り出すのが美容師の基本的な仕事で、ヘアカット・パーマスタイリング・カラーリングの他、メイクや着付け、ネイルケアなどの全身美容も手がけます。
美容師は国家資格となり、美容師専門学校の場合は2年間、通信制の場合は3年間就学し、卒業後に理容師美容師試験研修センターが行う国家試験を受験し合格すると免許証がもらえます。つまり、この免許を持っていなければ、お客様の髪を切ることができません。
専門学校では基礎的な技術・知識の他、日本髪の結い方や着物の着付けなどもマスターし、免許取得後はヘアサロンに就職するだけでなく、映画会社や結婚式場、テレビ局などでヘアメイクを担当するという道もあります。
美容師として経験を積み、指名客をたくさん獲得してフリーの美容師として活躍する人や、独立してサロンを開業する人もいます。
一見、華やかそうな職種ですが、アシスタント時代は何ヶ月もシャンプーだけを担当したり、閉店後に練習もしなければいけないため、かなりハードな仕事となります。表参道や代官山など人気の美容室に就職するとお昼を食べる時間もないほど忙しいというのも珍しくありません。
また、理容師から美容師に転職する人もたくさんいますが、その逆はほとんどありません。やはり「美容師は華やか」という印象があるのでしょう。
そして、特殊な髪型の専門店サロンも多数あります。
例えば社交ダンスの選手権にしか需要のないフィンガーウェーブというパーマスタイルがあり、このパーマ専門店の美容院は日本全国で2店舗だけです。
このフィンガーウェーブパーマの技術は国家資格の実技試験に入っていましたが、今後は需要がないため外される予定だということです。
理容師の仕事について
理容師は主に男性を対象にヘアカットやシャンプー、パーマ、顔反り、マッサージなどを行います。
理容師と美容師の大きな仕事内容の違いは顔剃りをやるかやらないかです。理容師は顔剃りができますが、美容師はできません。そして、理容師のヘアカットは整えることがその目的で、おしゃれで自然な髪型を作る美容師とは髪型に対する考え方が全く違います。
また、理容師はパンチパーマなどのこてを使ったパーマしか一般的にはできないようになっていますが、ロッドを使ったパーマをしている理容室も多く見受けられます。
そして、理容師も美容師と同じく国家資格となっているため、免許を取得しなければなりません。
理容師専門学校2年間、通信教育の場合は3年間就学し、卒業後に理容師美容師試験研修センターが行う国家試験(筆記と実技)を受験し、免許取得後に理髪店で働くのが一般的で、3年以上実務経験を積み、所定の講習会を受講すると管理理容師の資格を取得することができます。この資格は2人以上の理容院を開店するときに最低1人が持っていなければいけない資格となります。
理容師の数は世界的にも減少している傾向にありますが、日本には理容師・美容師どちらの免許も取得して、理容美容の枠を超えて活躍する理美容師もたくさんいます。
美容師・理容師の受験数・合格率
美容師、理容師の試験は年に2度行われています。
以下のデータを見ても圧倒的に美容師試験を受ける方が多くいというのがわかります。合格率は若干、美容師試験の方が高くなっています。
平 成 28 年 度 |
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第35回理容師国家試験 | 第35回美容師国家試験 | ||
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受験申込者数 | 1,280人 | 受験申込者数 | 18,768人 |
受験者数 | 1,261人 | 受験者数 | 18,526人 |
合格者数 | 947人 | 合格者数 | 16,498人 |
合格率 | 75.1% | 合格率 | 89.1% |
第34回理容師国家試験 | 第34回美容師国家試験 | ||
受験申込者数 | 899人 | 受験申込者数 | 5,397人 |
受験者数 | 880人 | 受験者数 | 5,148人 |
合格者数 | 532人 | 合格者数 | 2,884人 |
合格率 | 60.5% | 合格率 | 56.0% |
平 成 27 年 度 |
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第33回理容師国家試験 | 第33回美容師国家試験 | ||
受験申込者数 | 1,268人 | 受験申込者数 | 18,621人 |
受験者数 | 1,253人 | 受験者数 | 18,376人 |
合格者数 | 941人 | 合格者数 | 16,365人 |
合格率 | 75.1% | 合格率 | 89.1% |
第32回理容師国家試験 | 第32回美容師国家試験 | ||
受験申込者数 | 890人 | 受験申込者数 | 5,326人 |
受験者数 | 862人 | 受験者数 | 5,054人 |
合格者数 | 526人 | 合格者数 | 3,056人 |
合格率 | 61.0% | 合格率 | 60.5% |
平 成 26 年 度 |
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第31回理容師国家試験 | 第31回美容師国家試験 | ||
受験申込者数 | 1,479人 | 受験申込者数 | 18,894人 |
受験者数 | 1,458人 | 受験者数 | 18,584人 |
合格者数 | 1,117人 | 合格者数 | 16,516人 |
合格率 | 76.6% | 合格率 | 88.9% |
第30回理容師国家試験 | 第30回美容師国家試験 | ||
受験申込者数 | 1,057人 | 受験申込者数 | 6,284人 |
受験者数 | 1,028人 | 受験者数 | 5,915人 |
合格者数 | 539人 | 合格者数 | 3,238人 |
合格率 | 52.4% | 合格率 | 54.7% |
平 成 25 年 度 |
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第29回理容師国家試験 | 第29回美容師国家試験 | ||
受験申込者数 | 1,459人 | 受験申込者数 | 19,411人 |
受験者数 | 1,430人 | 受験者数 | 19,063人 |
合格者数 | 952人 | 合格者数 | 15,350人 |
合格率 | 66.6% | 合格率 | 80.5% |
第28回理容師国家試験 | 第28回美容師国家試験 | ||
受験申込者数 | 1,094人 | 受験申込者数 | 7,503人 |
受験者数 | 1,074人 | 受験者数 | 7,172人 |
合格者数 | 562人 | 合格者数 | 3,540人 |
合格率 | 52.3% | 合格率 | 49.4% |
平 成 24 年 度 |
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第27回理容師国家試験 | 第27回美容師国家試験 | ||
受験申込者数 | 1,417人 | 受験申込者数 | 18,487人 |
受験者数 | 1,399人 | 受験者数 | 18,208人 |
合格者数 | 938人 | 合格者数 | 14,638人 |
合格率 | 67.0% | 合格率 | 80.4% |
第26回 理容師国家試験 | 第26回 美容師国家試験 | ||
受験申込者数 | 955人 | 受験申込者数 | 6,270人 |
受験者数 | 929人 | 受験者数 | 5,942人 |
合格者数 | 465人 | 合格者数 | 2,674人 |
合格率 | 50.1% | 合格率 | 45.0% |
また、美容師・理容師ともに試験の合格基準は基本的に同じとなっています。
美容師の合格基準
筆記試験
・50問中60%以上の正解率であること
・関係法規・制度、公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体の構造及び機能、皮膚科学、美容の物理・化学、美容理論のいずれの課目においても無得点がないこと
実技試験
◆衛生上の取り扱い試験
・減点が30点以下であること
◆基礎的技術試験
第一課題:カッティングの減点が30点以下であること
第二課題:オールウェーブセッティングの減点が50点以下であること
理容師の合格基準
筆記試験
・50問中60%以上の正解率であること
・関係法規・制度、公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体の構造及び機能、皮膚科学、美容の物理・化学、美容理論のいずれの課目においても無得点がないこと
実技試験
◆衛生上の取り扱い試験
・減点が30点以下であること
◆基礎的技術試験
・減点が40点以下であること